カンディンスキーに学ぶ 〜抽象画って何?〜

抽象画ってなんだろう? なんで、あんな絵を描くんだろう? という疑問を解き、そしてその抽象画をみんなで描いてみようというもの。カンディンスキーの芸術をもとにしながら抽象絵画について学んでいきます。
★動画 19分00秒
★動画+制作時間目安
【カリキュラム作成】下段 橋本 乾 平山 須藤 南雲
使うもの1=(トントン・ペト教室)教材セットに入っているもの
カンディンスキーの作品しょうかいプリント2まい
こちらからプリントできます。↓
https://www.docodemo-art.com/member/wp-content/uploads/2021/06/1629332199.pdf
【編集責任者】南雲
使うもの2=お家で準備していただくもの
始める前のじゅんび
スケッチブック(画用紙)
アクリル絵の具セット
ペーパーパレット(牛乳パックでも大丈夫です)
水いれ
ぞうきん
○エプロンはつけたかな?
ない場合はよごれてもよいふくをきよう
○つくえの上やテーブルの上にシートをしいておこう
【編集責任者】乾
動画
※動画中、または資料の中のカンディンスキーの作品画像データ、人物画像データについては、以下のサイトから引用させていただきました。
★動画19分00秒
00:34 抽象画ってわけがわからない?
01:43 カンディンスキー先生になんで抽象画を描いているのかをおしえてもらうよ
04:35 トレーニング (形や線、色の組み合わせを見て感じる。音を聞いて色や形をイメージしてみる)
12:21 抽象画の作品を描いてみよう 同じ形でも描き方によって違った感じに見えるよ
13:51 線や形をかいみてよう
15:48 色をつけてみよう
★動画+制作時間目安
◆動画について 一度全部見てから作るのがオススメ
【撮影・出演・編集】下段 南雲
せいさくのしかたピックアップ
その1
きょうののシモダンせんせいとワンダくんのまえにはなんだかよくわからない「え」が・・・! なにがかいてあるかわかんないな
ちゅうしょうが?っていうらしいけど・・・
よし!この絵(絵)のさくしゃ、カンディンスキーさんにあいにいってみよう!
その2
カンディンスキーさんにあったら、
こころのうごきや、かんかくを、えがくことがちゅうしょうがのはじまりらしい・・
おと・・?いろ・・・?よくわからないことがいっぱい!
どうやったらわかるようになるのか・・カンディンスキーさんお願いします!
その3
まずは・・・・
これをみてかんじたことや、これからきこえそうな「音(おと)」をかんがえてえてみよう!・・・って、まっしろじゃん!
まっしろでも、みんなかんじることはそれぞれちがうだろうね。
ここからいろんなかたちをだしてみるから、みんなかんじたものや、おとをおとをそうぞうしてみてください
その4
その5
おともきいてみよう!
音データ
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
きっとこれまでかんじたものはみんなちがっているだろうね
じぶんだけのかんかくだね
そしていよいよ・・・!えがきはじめよう!
おなじかたちでも、かきかたによってちがってみえる・・・・
たしかに、かくばしょやかたむきによってなんだか、かんじるふんいきがちがうね
よし!!!かいていってみよう!
その6
したがきがかけたら、いろをぬっていってみよう!
つかういろによって、みたときのふんいきがかわるよ
カンディンスキーさんありがとうございまいた!
みんなもじぶんだけのちゅうしょうがをえがいてみよう!

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【編集責任者】南雲
カンディンスキーと抽象絵画の解説
ワシリー・カンディンスキー
1866年~1944年
ロシア出身の画家。「抽象絵画」の創始者の一人とされる画家であり、美術理論家、美術指導者としても活躍した。
同じく抽象絵画の創始者の一人とされるピエト・モンドリアン(1872~1944)の絵画が「冷たい抽象」と称されるのに対して、彼の絵画のスタイルは「熱い抽象」と称される。
抽象絵画とは
一般にイメージしやすいような、決まった物事や風景などの対象物を描く絵は「具象絵画(ぐしょうかいが)」と呼ばれます。それに対して、決まった対象を持たず純粋な色や形の組み合わせや筆致のみで構成される絵を「抽象絵画(ちゅうしょうかいが)」と呼びます。
ヨーロッパでは15世紀ごろにはダ・ヴィンチ等によって遠近法(えんきんほう)や明暗法(めいあんほう)など、人やものをリアルにえがくための方法がほとんど確立されています。その頃の絵は教会や王様、貴族がその力を示すため、あるいは神話や歴史の出来事を伝えるためにあったため、数百年の間、「本物のようにリアルに描く」ということがヨーロッパの絵画の絶対的な正解でした。
しかし、19世紀中頃に写真が発明されたことと市民革命が起きたことをきっかけにその価値観がひっくりかえることとなります。これにより20世紀初頭までの間に絵画や芸術のあり方が大きく変わり、画家たち自らが、「本当に良い絵とは何か?」「新しい絵とはどんなものか?」と考えて作品をえがくようになります。
そして、それまで「リアルに描く」という1つしかなかった絵のスタイルは、印象派、ポスト印象派、キュビスム、フォービスムなどの多様な表現へと広くえだわかれするように発展していきます。
そんな潮流の中で1910年頃、カンディンスキー、モンドリアン等により同時多発的に生まれた表現が、絵画から具体的な物事や風景などのイメージをなくし、純粋な色や形の組み合わせの構成によって作られる「抽象絵画」です。これによって絵の見方が「何がかかれているか?」から「どう感じるか?」に変わり、絵をかく人も絵を見る人も「絵とは何か?」「見るとは何か?」などを深く考え味わえるようになったのです。
【編集責任者】須藤
保護者様へ
「巨人の肩に立つ」という言葉をご存知でしょうか?
これは主に科学者の間でよく用いられる格言で、特に万有引力を発見したアイザック・ニュートンが科学者仲間に宛てた手紙の中の「私が彼方を見渡せたのだとしたら、それは私が巨人の肩の上に立っていたからである。」という一節が有名です。
ここで言う「巨人」とは先人たちが積み上げてきた知恵や知識や技術などを指します。ニュートンはこの一節によって、自らの発見や発想が天才的なひらめきによるものであることを否定し、新たな発見、発想とは先人たちの築き上げた知恵(巨人)の上に立てた時に初めて見えるものなのだと説明しています。
学ぶことの意義や先人たちへの敬意を示す言葉といえます。
今回のレッスンでは抽象絵画の先駆者であるワシリー・カンディンスキーが何を考え、なぜ抽象絵画に至ったかに触れ、彼のように「音」などの視覚的ではないモチーフから絵を想像する方法で抽象絵画に挑戦しました。
「抽象絵画」といわれると「何だか難しそう」「これだから芸術って訳が分からない」「常人には無い特別な感性が必要なのかも」といった印象を持たれる方も多いかもしれません。
「これは○○を描いた絵だ」などある程度の見方が決まっている「具象絵画」とは違い「抽象絵画」は感覚や観念など姿形のないものを視覚情報に落とし込む絵画表現です。子どもたちの感性や思考がそのまま色と形を持って構成された絵とも言えるでしょう。
抽象絵画を観る時は、まずはそこに「何が描かれているのか?」という捉え方をやめて、「どんな気持ちで、どんなことを考えて描いたか?」を想像したり実際に作者に聞いてみたりしながら鑑賞してみると良いでしょう。
「理解できなかったものが理解できるようになる」ということは子どもたちが世の中を見る「解像度」を格段に高めてくれます。そして、解像度の上がった目で見る世界が、知的欲求を満たす更なる新鮮な刺激に溢れていることに気づくでしょう。
また、絵画表現、視覚体験の本質に触れる抽象絵画の実践は「抽象的思考」を養うことができます。
抽象的思考とは物事を表層的な説明や方法論ではなく、その奥にある漠然とした本質を捉える思考力のことです。これは学業やビジネスにおいても大切な視点です。
この抽象的思考を身に付けることで、細部や表層に捉われず物事をより深いところまで理解する力(=理解力)が高まり、物事を再構築する柔軟な発想の転換(=発想力)を発揮できたり、本質を捉えているからこそ分かりやすく様々な表現を交えたプレゼン能力(=説明力)を高めることもできます。これらの能力はこれからの社会でも広く求められるものと言えるでしょう。
今回のレッスンを通して、子どもたちがカンディンスキーや抽象表現、抽象的思考という巨人の肩に立ち、今までの自分たちが目にしてこなかった新たな地平を見渡せたのだとしたら、それが何よりの成果かもしれません。
【抽象的思考力とは?】
物事の本質を抜き出して(抽象化して)捉える思考力のこと。
抽象的思考よって以下の能力を高めることができる。
・理解力
物事を本質から捉えることでそれらをより深く理解することができる。
・発想力
物事の本質や特徴を抽出することでそれらを組み合わせた新たな発想の転換を柔軟に発揮できる。
・説明力(プレゼン力)
物事を簡潔に纏めることができ、同じ本質や特徴をもった別のものを想定できるため、例え話や比喩表現を用いた多彩な説明も構成できる。
抽象的思考について参考
https://studyhacker.net/abstract-thinking
【編集責任者】須藤