ミッション企画インタビュー! 宮田れいなさん

    

ゲスト:SixZaemon代表 宮田れいなさん

インタビュアー:屋嘉部正人先生、菊地順子先生


2021年12月、Zoomにて取材に応じて下さった宮田さん。
背景になっている絵画はご自身の作品だそう。
「コロナ禍になってステイホームの時期、高校生の時以来にキャンバスに描いてみたら、ハマった」とのこと。

 

芸術による教育の会とのかかわり

屋嘉部正人先生(以下、屋嘉部) 私がオンライン上で『アート思考』についての講座を受けた際、受講生の中にれいなさんもいて、今日これからお話してくれる内容を熱く語ってくれました。私はそれに感動して、「私たちで何か一緒に、芸術による教育の会の子どもたちの喜ぶようなことを企画できるんじゃないかな」とピンときました!

菊地順子先生(以下、菊地) 屋嘉部先生からの声掛けに、れいなさんはどう思いましたか?

アート関連の仕事をしていきたかったのでもの凄く興味が湧いたのと、紙コップインスタレーションのお話にもの凄く感銘を受けました。「ぜひ屋嘉部先生と何かやりたいな」という気持ちは私からも生まれておりました!

あいパルにて2021年実施された紙コップイベント。コロナ禍においてイベント中止も懸念された中、万全の対策と準備を整え行われた。

コロナ禍というところで不安はあったんですけれども、「だからこそクリエイティビティを止めたくない」っていうものと、やっぱり「リアルで人が会って何かするっていうところの大切さ」っていうものを、どうにか実現できないかなと考えて…。本来なら、「中止にしましょう」というところ(選択肢のある状況)であっても、皆さんと話し合いながら、「万全に整えてやりましょう」と実現まで出来たことは、ありがたいといいますか、やってよかったなと思っております。

屋嘉部 れいなさんは、とても行動力のある方だと驚かされてばかりです。(紙コップイベントの進行について)すごいチャレンジだったと思います。主催者のれいなさんにはとても感謝しています。

Six Zaemonとしての活動

長年別の仕事をしてきたんですけれども、2年前(2019年)ニューヨークを拠点としてアート活動をしている弟(Tatsunori Hosoi)と共に、「地域」と「不動産」でアートに触れる機会というのを地元貢献のひとつとしてやっていこうとなりまして。現在は弟のマネージング、サポートもしながら、あとは家業である不動産業を継いで仕事をしております。

弟と組んでいるユニット名を『SixZaemon(シックス・ザエモン)』、アートに関して活動していくにあたりオフィスを『Office SixZaemon』と名付けているんですが、この名前は私達姉弟にとってとても意味のある名前なんです。2人で家業の不動産業を祖父から継いだんですけれども、その祖父の名前が「六左衛門」。今は亡くなっていないんですけれども、私達を育ててくれたとても尊敬する祖父への敬意を込め、意思を引き継ぐために名付けました。

菊地 インパクトがあって、「何をしている方達なんだろう?」と興味をそそられるお名前だと思っていました!由来も素敵ですね。

『不動産×アート』という発想

2年前(2019年)、弟がはじめて日本で個展をやりたいと言ったときに、弟としては「地元である戸田市で」、それも「(所有の)2階建ての空きビルを使ってインスタレーションの展示をしたい」と言いまして。私としても弟がやってきたことを皆さんに見て頂く機会でもありますし、単純に「面白い!」と感じたので、一緒に個展を開きました。

 

その弟の個展を経験した時、「できるだけ戸田市の方に個展の準備を手伝ってもらおう」と思ったんです。大工さんだったり、ペンキ屋さんだったり…。周りにいるものづくりに関してのプロフェッショナルの方々に「一緒にやりませんか?」と声を掛けてみたら、皆さん「面白そう、やりたい!」っていうふうに言ってくれまして、一緒に作り上げました。
地元の友人たちも仕事帰りに手伝いに来てくれて、楽しんで来てくれることが本当にありがたいなと思いましたし、ただ個展をやるというだけでなく、それをやるまでのプロセスを(周囲の方々と)一緒に楽しめたんです。かつ、実際に個展に足を運んでくれた方々も、名古屋や京都、東北、そういった遠い場所からも遊びに来てくれて…。その時にアートの力っていうのをもの凄く感じたのと、アートの楽しさ・奥深さ、一緒に作り上げるっていうことでこんなにも皆が集まるんだっていうところにも感動しました。それをきっかけに、アートを「創る」「観る」、両方に触れる機会を作りたいって思うようになりました。

菊地 れいなさんの強い想いが、人を惹きつけるのでしょうね。 

TODArt.Laboとしての活動

アートにもっと触れる機会を作りたいと思った時に、不動産だけはでなく、戸田市の街にアートを展開させていきたいって話になりました。戸田市に特化したアートの団体を作ろうと考え、今年(2021年)の4月に弟と周りにいるメンバーと共に、『TODArt.Labo』を発足しました。
ボランティア団体で、メンバーも一緒になって企画を考えたり、アートイベントの運営スタッフとしても参加したりして頂いています。「アートを介して多くの人が交流できたらいいな」という想いで発足しました。

宮田さんは、産まれてから小学校6年生まで戸田市で育ち、中学からは東京の中学に行ったという。それからは学校も職場も東京。活動拠点・生活の場が東京から戸田市に戻った時「自分の産まれた街のことってあまり知らなかった」と気付いた。それをきっかけに、自分の街について調べ始めたり、人と触れ合ったりすることで「あらためて自分の産まれた街というのが好きになった」と語る。

今までに自分が色々な芸術に触れて感動したことを、戸田市に住んでいる方々にも体験してほしい」という想いでやっています。

菊地 「自分のいる街ってどういうところなんだろう」って考え始めるって、凄くいいなと思っていて。(芸術による教育の会の)子ども達もれいなさんのことを知り、今何気なく住んでいる街がどういう街なんだろうって考えるきっかけになるのではないかな思います!

「アート」と戸田市、現在とこれから

菊地 戸田市でアートを発展させていこうというチャレンジ。今後どのような展望をお持ちですか?

まだあまり芸術の発展していない街だという印象があるので、最初からドカン!とアート(イベント)をやってしまうと、恐らくびっくりしちゃう(笑)大きなものにはエネルギーも使いますし。今後文化が根ざすまで10年、20年、30年…とかかると思っていますので、まずはその一歩として、小さなことから着々と進めていけたらいいなと。
将来的には、芸術祭ですかね。アートフェスを戸田市で行えたらいいなという構想はあります。戸田市にいる方、観に来てくれる地方の方、海外の方も、多くの方々を巻き込んだ芸術祭っていうのをやっていけたらいいなというふうに思っています。その為に今は皆が楽しみながら創り上げる形に、一歩一歩チャレンジしているっていうところです。その時も、芸術による教育の会の皆さんと何か一緒にできたらいいなと…!

屋嘉部 2022年は、戸田芸術祭へのファーストステップをぜひ子ども達と!

子ども達とのミッション

弟が個展をやった2階建ての空きビルは築50年ほど150平米の広さもので、今は2階をアトリエだったり、アートワークショップをやったり、展示会をやったりしていて。来年(2022年)には『Gallery SixZaemon』として、1階をギャラリーカフェへとリノベーションして運営していこうかと考えています。

今ある建物を壊して新しく建て直すっていうことも出来るんですけれど、築50年という歴史のあるもの。今はたとえ「古い空きビル」と呼ばれてしまっていても、アートの力によって建物が喜んでくれるようなことを、一緒に考えていけたらいいなと思っています。

菊地 「ビルが喜んでくれること」。れいなさんの考え方がもうアーティスト!

屋嘉部 子ども達なら、やってくれると思います!
もうすぐ50歳になる『Gallery SixZaemon』を、皆で喜ばせようという気持ちで。

子どもたちの発想って、びっくりさせられることが多いんですよね!「私が思いつかないような発想で何かが生まれるんじゃないか」っていうふうに思っています。何を作るかは大人が決めつけず、子どもたちの発想や作るプロセスを大切につつ…。そこから大人も刺激をもらったり、生活に活かしたりできることに繋がったら面白いと思っています。